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とにかく気まずい空気を変えようと、俺はいつもながらのふざけた口調で近くのゴミ箱をぽんぽんと叩きながら彼女に言った。
「缶・ビン、ペットボトル、その他のごみなんて随分大雑把な分類だよね。
その他のごみに核廃棄物とかも捨てちゃっていいのかな?」
彼女は笑うどころかやや悲しげな表情を見せる。
「貴志君のそういうところが好きでもあり、嫌いでもあったの……」
彼女はあくまで気まずい空気を変えたくないということはよくわかった。
別れに涙は不要というが、彼女にとって笑いはもっと不要のようだ。
こうして俺の14回目の失恋が決定した。
14回も失恋したということは14人も恋人を作ったのかと言われれば、そうではない。
大概一方的に片想いをして、舞い上がり、実に客観性に欠ける根拠を元に相手も自分を意識してるに違いないと思い込んでしまう。
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