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「俺こういう感じの飲み会ってさ、苦手で」
壁の花となっているクミに俺は話しかける。
「そうなんですか。意外ですね。貴志さんって明るくてこういう場に慣れてそうなのに」
「全然だよ。コンパなんてめったに行かないから。今日は社会勉強だよ」
「じゃあ私と一緒ですね」
クミは柔和な顔をふにゅっと緩めて柔らかそうな照れ笑みを浮かべた。
俺とクミは映画好きという共通話題があり、二人でずっと映画の話題で盛り上がった。
「タランティーノの魅力っていうのは、撮り方の魅力というか……」
「ダンサー・イン・ザ・ダークは嫌いじゃないんですよ。私ああいうダークな話も好きで……」
「どうしてもハネケ監督は好きになれないんだよなぁ」
「私も! 私も!」
「ケヴィン・スペーシーはアメリカンビューティー以降迷走してるというか……」
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