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一ノ瀬さんの帯びた熱はその言葉で僕に伝播した。
体温が体感で2℃上昇する。
恐らく僕の頬も真っ赤だっただろう。
「……凄く嬉しかった」
小さくそう呟いた一ノ瀬さんに気の効いた言葉も返せない僕は本当に男としていかがなものかと思う。
「ごめん! お待たせぇ!ー」
重く停滞した空気を打ち砕くように春日井さんが叫びながら小走りでやって来た。
「あっ……お邪魔だった?」
春日井さんの気まずそうな表情に僕たちは顔を真っ赤にしたまま無言で首を振る。
空気を読まない春日井さんもたまには役に立つ。
「もう来ていたんだ。待たせちゃったかな?」
不意に男性の声がして僕たちはそちらに視線を向けた。
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