貴志晃将が夏目宏市を意外と気に入った理由

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見兼ねた下山田さんが仲裁に入る。 「まあまあ、ひかり。確かに貴志さんの今の反応はちょっと気持ち悪かったけど落ち着いて」 「下山田さんまで……っっ!?」 「てかなんで裕子までスカートなわけ?」 「私もパンツ持ってなくて……」 「あんた前回のバーベキューの時ジーンズ穿いてたじゃんか! バーベキューの正装だっていって!」 下山田さんの発言に緊張ぎみだった一ノ瀬さんと夏目はリラックスしたのかくすくすと笑った。 一方俺はバーベキューが始まる前から再起不能なくらい落ち込んでいた。 春日井さんは本当に疫病神だ。 俺はもう骨折は大分よくなっており、杖がなくても歩ける。 中年の医師は「驚異的な回復力だ。若いってのはいいね」などとおじいちゃんの教訓みたいなことを平然と言ってのけた。 俺の予想では治りが遅い時のために初めの診断で余裕を見過ぎただけで、実際は人並みの回復とにらんでいる。
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