128人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
悪い癖でのぼせあがった俺は携帯の着信音まで自分たちのBGMのように感じてしまっていた。
「あっ、ごめん。着信みたい」
クミは携帯を慌ただしく取り出し、店の入り口の方へと出ていった。
クミが席を外したのを見計らって誠実ヅラの笹木が俺に話しかけてくる。
「貴志君抜け駆け~?かなりクミちゃんと親密になってるみたいじゃない?」
笹木は満面の笑みで冷やかし、クミちゃんを誉めだした。
「クミちゃんってなんか可愛らしいよね。雰囲気や仕草なんか特に」
笹木は意外にいい奴かもしれないと俺は思い直していた。
電話を終えたクミはやや顔を紅潮させて慌てて帰ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!