128人が本棚に入れています
本棚に追加
「せっかくのデートなんですからちょっとお散歩しましょう」
下山田さんのその提案で俺たちは街が見渡せる丘の上の旧外国人居留地へと向かった。
つい最近時田と訪れたばかりであったが、何パターンも気の利いたデートコースを知らない俺はそこを選んだ。
しかし下山田さんは有料の建物には入らず、外観だけを楽しみ、雑貨屋巡りを楽しんだ。
雑貨屋の何が楽しいのか男にはいくつになっても理解しがたいものがある。
雑貨屋巡りをしている間に日も暮れ始め、俺は時田とここを訪れた時と同じように夕日に映し出される街が展望出来る神社へと来ていた。
時田がそうしていたように下山田さんもその景色を見つめて、どこか思いつめたような、ただ単に疲れて黙っているのか分からない表情を浮かべる。
夕日は人をこんな顔にさせる力があるのかもしれない。
もしくはこんな顔に見せる力なのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!