128人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
スーパー「エリーゼ」でのバイト中、俺はろくにカップラーメンも見ずにカップラーメンの補充をしている。
視線はレジに立つ下山田裕子(しもやまだゆうこ)に釘付けだからだ。
お客さんにおじぎする度にさらさらと流れるセミロングの黒い髪は、顔にかからないように前髪だけはピンで留めている。
ヘアピンだけは彼女のこだわりのファッションらしく日によって変えている。
今日はディフォルメされたクジラのものだ。
彼女のこの密やかなファッションのこだわりに気付いてるのは自分だけじゃないかと思っている。
くりくりとした二重の大きな目と付けまつげなどではない長いまつげが魅力的だが、眼鏡をかけているため際立って目立ちはしない。
そこに奥ゆかしい彼女の美しさがある。
最初のコメントを投稿しよう!