夏目宏市が陰鬱で悲観的な50の理由

6/6

128人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
とはいえあまり誰とも積極的に会話をしない僕は下山田さんとも数えるくらいしか会話をしたことがない。 だいいち僕は下山田さんを彼女にしたいとか大それたことを考えたりもしていない。 僕のような悲観的で人間嫌いな奴に付きまとわれては彼女も迷惑だろう。 だから僕はそっと見るだけでいい。 下手な可能性を論じて、誰も望んでなんていない勇気を振り絞り、下山田さんに告白なんてしたらいけない。 彼女の人生の黒歴史を作ってしまうことになるし、なにより僕も下山田さんの顔も見れなくなる。 今のままで充分に幸せだ。 「希望」や「夢」なんて言葉は「欲望」という言葉を綺麗な言葉に言い換えたに過ぎない。 そして「欲望」とは結局「幸せ」の反対語に他ならないのだ。 ちなみに「幸せ」の同意語は「満足」だ。
/364ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加