夏目宏市がおつかいをする1つの理由

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僕は言われるがままに特売品お1人様2本までの大根を2本手に持ち、店内をぶらぶらと歩いた。 下山田さんがレジに入ったのを確認するとレジへと向かった。 とはいえレジはいくつかあり、下山田さんのレジが開いている隙にサッと行く必要がある。 知らないおばさんのレジで大根を買う理由など何にもないからだ。 タイミングを見計らっていた僕は奇妙なものを見つけた。 スーパーの店員の大学生くらいの男がカップラーメン補充をする素振りをしてじぃっと下山田さんを凝視しているではないか! 派手な顔立ちのいかにも遊んでいそうな男だ。 大して整った顔立ちではないがパッチリとした二重や掘りの深い顔立ちはどことなく不真面目そうな印象を受ける。 この不誠実男は下山田さんを狙っているのか? 僕は働きもしないで下山田さんを眺めている男に自分で出来る最大の攻撃を仕掛ける。
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