夏目宏市がイカを嫌いになった理由

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翌日登校すると既に下山田さんは教室におり、僕を見ると微かに微笑んで小さく会釈をしてくる。 僕も心臓をばくばくいわせて軽く会釈を返す。 もう充分。 これでもう充分だ。 僕ごときが得られる幸せとしてはこれでもう充分だ。 これ以上を望んではいけない。 ここで調子に乗って下山田さんの席まで行き、おはよう!なんて挨拶して肩をぽんと叩こうものなら全てを失う。 下山田さんの瞳が一気に嫌悪感で満ち溢れたものとなり、一度学外であっただけでなれなれしい奴! と烙印を押されるに違いない。
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