女川圭一郎が焦った理由

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ポイントカードを作ったことが功を奏したのか下山田さんは俺のことを覚えてくれているようで、特に声は掛けられないが俺がレジに行くとにっこりと笑顔で迎えてくれる。 俺も笑顔で返す。 しかしそれ以上の進展は狙わない。 なぜならば彼女からはまだ「あなたに興味があります」という態度が出ていないからだ。 何度も繰り返し自分に興味がありそうな女性を探してきた俺には、相手がこちらにどの程度興味を持っているかを見極める目が養われている。 今の下山田さんにとっての俺は残念ながら「よく来てくださるお客様」程度で止まっている。 この状況で下手にアドレスを渡したり、デートに誘ったりの強行手段を取ると一気に離れていってしまう可能性が高い。 ここは慌てず期が熟すのを待つしかない。 とはいえ何もしなければ進展はない。 向こうに関心を持たせる作戦が必要だ。
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