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スーパーの買い物かごを片手に持ち、小脇に最近映画化されることが決まった恋愛小説を挟む。
人気が少なくなったのを見計らい、俺は下山田さんの立つレジに向かった。
「お帰りなさい」
「ただいま」
下山田さんも俺もは昨日よりは滑らかに俺に挨拶をする。
会計をする際、多少わざとらしさは否めないが、本を置いて財布を取り出す。
「その本読んでるんですね」
「あ、うん。本好きでね」
食いついた!
やはり読書は下山田さんの趣味だったか?
「下山田さんも本好きなの?」
「あ、いえ。同級生に読書好きな男の子がいて、その人もその本読んでいたから……」
心なしか照れたような笑いを下山田さんが浮かべる。
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