女川圭一郎が焦った理由

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スーパーの買い物かごを片手に持ち、小脇に最近映画化されることが決まった恋愛小説を挟む。 人気が少なくなったのを見計らい、俺は下山田さんの立つレジに向かった。 「お帰りなさい」 「ただいま」 下山田さんも俺もは昨日よりは滑らかに俺に挨拶をする。 会計をする際、多少わざとらしさは否めないが、本を置いて財布を取り出す。 「その本読んでるんですね」 「あ、うん。本好きでね」 食いついた! やはり読書は下山田さんの趣味だったか? 「下山田さんも本好きなの?」 「あ、いえ。同級生に読書好きな男の子がいて、その人もその本読んでいたから……」 心なしか照れたような笑いを下山田さんが浮かべる。image=433025764.jpg
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