第一章

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刺青、彫り物、タトゥー・・等々、呼び名は様々だが、結局のところは、みな同じ入れ墨である。 刺青師、彫師と呼び名は違えど、する事は同じだ。 お客が選んだ下絵を、背中や肩といったキャンパスに、一生消えない(肌絵)を描くのである。 それはそれは、神経の使う仕事なのだ。 俺が、一番最初に、入れ墨なるものを彫ったのは、中学一年生だった。 南行徳の中学の、兄弟分の大栗と云う奴と、お揃いで、左肩に(命)の一文字を彫りあったのが始まりだった・・・ 俺は、小学生の頃に、絵画で、千葉県で一番の(教育委員会賞)を貰った。 まあ、手先は器用だったと云う事か・・ ガキの頃は、家で漫画を書いたりしていた。 そして、絵に対しての興味はそのままに成長して、シャブ中になった。 シャブ中は、必ず何かに集中するもので、俺はセックスか絵を書いた。 そんな時だ、知人が、電化製品のコイルを使い、自家製刺青マシーンを作ったのだ。 俺は、それを真似て、自分でも似たようなマシーンを作った。 それが、俺の刺青師への一歩だったのだ。 中学を卒業後、はじめて彫ったのは、つまらない、般若の面だった。 今見ると、ただのイタズラ書きにしか見えない。 しかし、後悔はしてなかった。 いくら下手でも、自分の作品なのだ。 これからが勉強! しかし、俺は誰の弟子にもならなかったのだ。 全て独学で学んだ。 試行錯誤を繰り返し、現在に至るが、道のりは長かった。 初めは、タダで彫っていたが、上達するにつれ、みなが5000円くれ、8000円くれして、やっとお金が貰えるようになったのだ。 まずは、般若だ。image=427229762.jpg
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