薔薇の接吻-平和を謳う歌声-

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 すっかり全ての準備が終わった午後七時過ぎ、ディーンは繁華街にあるファーストフード店で夕食をとっていた。やや混雑している店内で食べるこれが、おおぐま座コロニー連合国での最後の食事となるだろう。もう少しいいものを食べればよかったかな、なんて思いつつ、ジャンクな味のハンバーガーを頬張る。  おおぐま座コロニー連合国を出た後の予定はあまり立っていなかった。世話になっている組織がある、宇宙連合直属の中立コロニーであるシラサギに行って、そこから先は考えていない。運び屋を続けるにしても、どこかに拠点を持たなくてはいけないが、どこにしようかは全く考えていなかった。  食事を終え、食器をカウンターに返してからディーンは空港へと向かった。繁華街は以前と変わらず賑わっているが、そこかしこにこちらを監視する軍の人間がいる。真綿でやんわりと首を絞められているようだ。
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