藍の夜空に月のキス

18/19
前へ
/369ページ
次へ
太陽は西に沈み、辺りを覆うのは藍色の薄い闇。 「ねぇ、真由。 どうせならどこかのんびりした国に移住しようよ? 小さなレストランを二人でやろう? 俺は料理作るから、真由はパティシエ。 瑠亜は看板娘かな」 「…………貴方が言うと実現しそうで怖いわ」 「実現するよ。 資金なら、あるしね」 夜空に浮かぶ月の光は、薄雲に覆われて見えなくなるほど淡く儚いけれど、 「私、ケーキのレパートリー、一つしかないのよ」 「本当に?バースデーケーキはプロ並みだったのに」 本当はいつも、そこにあって。 決して、なくなることはない。 「あ、真由!忘れてた!」 「なによ?」 「一番重要なことだよ!」 「だから何?」 「…………キスしていい?」 「……………」 . . .
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1788人が本棚に入れています
本棚に追加