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太陽は西に沈み、辺りを覆うのは藍色の薄い闇。
「ねぇ、真由。
どうせならどこかのんびりした国に移住しようよ?
小さなレストランを二人でやろう?
俺は料理作るから、真由はパティシエ。
瑠亜は看板娘かな」
「…………貴方が言うと実現しそうで怖いわ」
「実現するよ。
資金なら、あるしね」
夜空に浮かぶ月の光は、薄雲に覆われて見えなくなるほど淡く儚いけれど、
「私、ケーキのレパートリー、一つしかないのよ」
「本当に?バースデーケーキはプロ並みだったのに」
本当はいつも、そこにあって。
決して、なくなることはない。
「あ、真由!忘れてた!」
「なによ?」
「一番重要なことだよ!」
「だから何?」
「…………キスしていい?」
「……………」
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