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高倉教授side←なんでだよ(セルフツッコミ)
研究室へ向かう途中、女子生徒が集団で騒いでいるのを見つけて足を止めた。
「きゃー一樹!
そんなに迫っちゃダメ!」
「浅倉くんったら、嫌そうなフリしちゃってぇ。もうツンデレなんだからあ」
女子学生たちは、何かに夢中になって、きゃわきゃわと楽しそうに頬を赤らめている。
彼女たちの視線の先に目を向けると、男子学生が二人立ち話していた。
こちらを向いて楽しげな笑顔を浮かべているのは……時田一樹。
時田グループの御曹司で、学内入試トップの有名人だ。
整った甘いマスクと、バランスのいい細身の身体。
洗練されたセンスと、砕けていても品のある立ち居振舞い。
遠目に見ても、人目を引くその容姿は、艶やかな色気もはらんでいて、眼福に値する。
まあ、惜しむらくは、女癖が悪そうなところか。
私的にはもっとストイックなタイプの方が好みで…………。
「…ん?」
時田一樹の隣に立つ青年に目を向ける。
高い身長、少し色素の薄い綺麗な髪。
薄い眼鏡の奥の理知的な瞳………。
上品な口元、整った鼻、少し不機嫌にひそめられた形のいい眉…
ダダダダーン!
頭の中でベートーベンの交響曲第五番が響いた。
そう、運命。
これは運命なのだ。
ああ。
浅倉くん(…だっけ?)
君にフォーリンラブ………。
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