おまけ リクエスト「幸せダブルデート」

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一樹side 浅倉と同室にして、なんとか危機を乗り越えた…………と思ったのは、ちょっと甘かったかもしれない。 温泉にくれば、まあ温泉好きの真由はまず風呂に入るわけで。 その後の夕食は当然四人で食べることになるわけで………。 机の上に、ところせましと並んだ蟹をメインにした懐石料理。 目の前には、湯上がりで少し赤くなった佐和ちゃんと、相変わらずしまりのない笑顔の浅倉……。 そうくると、俺の隣にいるのは、必然的に濡れ髪浴衣姿の真由になる。 くそ、濡れ髪浴衣………むちゃくちゃツボだっつーのっ! 「何、一樹?さっきから黙ったままで。箸も進んでないわよ?」 真由が訝しげに、俺を見上げてくる。 アップにした白いうなじが目に毒だ。 ピンクに色づいた頬。色気満載の上目遣いも、ちょーヤバい。 ああ、もう。なんだこれ? なんの罰ゲームだよ? 自分の理性の糸の細さに、情けなくなりながら頭を抱える。 ダメだ。直視できない。 「………真由、一旦着替えてこない?」 ハアッとため息を吐きながら、提案すると、真由は意味が分からないと言ったふうに顔をしかめた。 「なんなのさっきから」 「………いや、ごめん。なんでもない。あ、蟹、むこうか?」 ちょっとムッとしている真由のご機嫌をとりながら、蟹に集中する。 とにかく絶対この姿で外には出ないように真由に言い聞かせよう。 俺がまともに見れていないのに、他の野郎共の目にさらすのは、かなり腹が立つ。 「浅倉っち、この部屋で眼鏡かけたら、今日同じ布団で添い寝するからね」 苛立ち紛れに目の前の浅倉を脅すと、 「気持ち悪いこと言うなっ」 浅倉は寒いぼをたてて、本気で嫌がっていた。 とにかく、真由の濡れ髪浴衣はかなり危険だ。 目にすると、理性が崩壊する。 てか、俺、かなり浴衣フェチだっんだな。 …………今後、気を付けよう。
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