おまけ リクエスト「幸せダブルデート」

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真由side 旅行二日目。 宿泊地から福岡へ。 一樹おすすめのモツ鍋を食べ、福岡の有名なお祭り、博多どんたくのパレードや会場を見て回った。 「ミコ、はぐれないように気をつけて」 人通りの多い街中。 蓮は常に佐和さんの隣にいて、手を繋ぎ、見つめあいながら楽しそうに歩いている。 仲のいい二人は、見るからに幸せそうで、すごく微笑ましい。 それと同時に、妬ましく感じている、自分もいて、少し自己嫌悪に陥った。 隣を歩く一樹をこっそり見上げる。 付かず離れずの距離。触れそうで触れない手。 私と一樹には、たくさんの制限がある。 それは承知の上なのに、もどかしくも縮めようのない距離に、たまに苦しくてたまらなくなる。 佐和さんみたいに、ただ素直に真っ直ぐ彼を愛せたらいいのに。 すぐそこにある手を躊躇いなく掴めたら、こんなに胸を掻きむしられるような気持ちなんかならないのに。 「どうかした?真由」 身体を折って、覗きこむように私を見る一樹に視線を向ける。 「………………」 好き。 言えない一言を飲み込んで 「なんでもないわ」 わざと冷たく顔を逸らした。 いつか。 言えるだろうか? 愛してると。 ずっと貴方だけを愛していたと。 目をそらさずに、伝えられる日が来るだろうか? 一樹に気づかれないように、そっと彼の服の裾を掴む。 同じ歩調で歩きながらも、なぜか遠く感じる距離に、 少しだけ泣きたくなった。 . .
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