おまけ リクエスト「幸せダブルデート」

22/23
1767人が本棚に入れています
本棚に追加
/369ページ
高倉教授side 「 どうしよう。渡辺くん」 帰りの飛行機の中、私は苦悩に悶えていた。 「私はそっと浅倉くんを見守りに来ていたのにっ。意外な場所で会えた嬉しさに思わず駆け寄ってしまったっ。 きっと浅倉くんは私を変に思っただろうね!?」 「大丈夫です。 教授が変なのは今に始まったことではありません。 それより飛行機ではお静かに。 CAさん睨んでますよ」 「何を呑気なっ。 今はCA どころの騒ぎじゃないんだよっ」 「ハハハ。騒いでいるのは教授だけですよ」 渡辺くんは感情の読めないキツネのような細い目を向けるだけで、一向に取り合ってくれない。 嗚呼。なんて無能な助手なんだ! 私はこんなにもうちひしがれていると言うのに! 「教授、もうすぐ離陸なのでベルトしめてください」 「ベルトどころの騒ぎじゃないんだよっ」 「ハハハ。騒がなくていいので、ベルトはしてください」 ………くぅ。 唇を噛み締めながらベルトをつける。 渡辺くんは納得したように頷いて、映画を見るのかイヤホンを装着した。 「渡辺くんっ映画なんて見ている場合じゃないだろうっ」 横からイヤホンを引っ張ると、渡辺くんは小さくため息を吐いて私に顔を向けた。 「浅倉くんには後で僕が適当にフォローしますから。 教授は気にやまず、心静かに寝てください。てか、寝てください。おやすみなさい」 いささか雑な感じで、渡辺くんはそう言って再びイヤホンで耳をふさいだ。 渡辺くんは呑気でマイペースだが。 やると言ったことはやる男だ。 きっと浅倉くんには、きっちり適当にフォローしてくれるだろう! 優秀なる助手、渡辺くんがいてよかった! ホッとしたらお腹が空いたな。 私はスーベニアバスケットのポップコーンを食べ、お腹一杯になったので眠りについた。 「ムニャムニャ………クー・ド・バーストぉ……」 「本当、呑気でマイペースだよな。この人」 渡辺くんの苦虫を噛みたおしたような顔での苦言は、眠りに落ちた私に届くことはなかったのであった。 そして三年後。 蓮は教授が手ぐすね引いて待ちわびるゼミに入ることになります(笑) その話はまた別の機会に。 てなわけで、 番外編「幸せダブルデート」 完 です。お疲れ様でした! .
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!