砂の城

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彼女はそのままバスルームに向かうと洗顔を済ませ、ダイニングテーブルに腰かけた。 机に置かれた細いチタンフレームの眼鏡をかけ、新聞を拡げる。 俺は真由の正面に座り、頬杖をついて彼女を見つめた。 「…………」 しばしの沈黙。 「……………なに?」 根負けしたのは真由だ。 「なにって?」 そのままの体制で問い返すと、真由は新聞を畳んで俺を睨んだ。 「だから なんで、じっと見てるのよ」 「見たらダメ?」 「何だか落ち着かないわ。 何か言いたいことでもあるの?」 「別に? 眼鏡に萌えてるだけだから気にせず新聞見てて」 .
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