物語-主人公=間章(1)

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 テリオンには次のような伝説がある。 『戦乱の時代、人々が戦渦に巻き込まれてあえぎ苦しむとき、空が裂けて一匹の漆黒の龍が舞い降りる。  漆黒の龍、人語を操り、普段は人の姿となって戦場を渡り歩く。  そして戦闘になれば魔術を使い、時には巨人に姿を変えて立ちふさがる全ての敵を打ち砕く。  漆黒の龍は戦いを起こし、地上を憎しみと悲しみで染めた傲慢な人々を罰する天が遣わした破壊者。  私欲にまみれ戦場に立つ者は、一人の例外もなく漆黒の龍の裁きを受けることとなる』  この伝説はテリオンの各地で伝わっているのだが、人々の認識は「古くからある言い伝え」程度で、信じている者は皆無であった。  ミラージュ・スターノも漆黒の龍の伝説は知っていたが、そんなのはただのほら話だと思っていた。  …………そう。  今日、この時までは。
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