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「あの…今日はありがとうございました」
ああ夢の時間が終わってしまう。
もっと一緒にいたかったな。
私はぺこりと一礼した。
「じゃ、じゃあ失礼します」
後ろ髪ひかれながら足を一歩進めようとすると、
ぐんっと強い力でひっぱられた。
「わっ」
ひっぱられるほうに振り返ると先輩が私の腕をつかみひっぱられてしまった。私は思わず先輩の顔を見上げた。
「……」
「…せ、んぱい?」
先輩は相変わらず無言で、何を考えているのかわからないけど
私の腕をつかんだままで。
「山下さん」
…初めて…先輩に名前呼ばれた。
「は、はい」
「また、明日。教室で」
真っ赤な夕日に照らされたせいか、
先輩の顔がほんのり赤くなっていた気がするのは
先輩と私だけの秘密。
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