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そんなこんなで今に至るわけです。
私は柏木先輩のいるはずの教室をこっそり覗いた。
窓際の後ろの席で眠っている男子学生が一人。
「ほんとに寝てる…」
友達が教えてくれた通り、先輩は教室で一眠りしてから下校するそうだ。
また一つ深呼吸をして、私は教室の中にはいっていった。
私は眠っている先輩の一つ前の席に静かに座った。
初めてだ。
先輩との距離がこんなに縮まるなんて。
それだけで胸か高鳴る。
席に座り、うつぶせになってすやすやと寝息をたてている柏木先輩。
うう、アドレスなんて聞けないよ…。
ふと窓の外に目をやると真っ赤な夕焼け。ほんと日が暮れるの早くなったなあ。そして、校門に向かう一組の男女の学生の姿が見えた。
いいなあ、きっとカップルなんだろうなあ。
ちらりと先輩の方に目をやる。
規則正しい寝息が今も続いている。
何も伝えられず、
私の初恋は
終わっちゃうのかな?
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