†墓に咲く、真っ白な花嫁†

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 ぐるぐると終わりのない思考を巡らせているうちに、僅かな時が経った。  辺りは夜になってしまったようだ。闇に閉ざされた樹海は恐怖そのもの。 「怖い。怖い。暗いのはいや」  発作のように恐怖が襲いかかる。  その時、真っ暗闇で何も見えないはずの視界に光が見えた。  先程、視界を掠めた白い物があったことを思い出した。  そこを凝視し、先刻見えた白い物の正体を知る。  それは、咲き誇る一輪の白い花であった。  這うようにして、これ以上に服が汚れるのも構わず花の所へ進んだ。 「私は、あの花を知っている?」  危険な。でも、近くに行かずにはいられない何かが、その花にはあった。  あの花が欲しい。  そう、記憶が混乱する中で何か魔に魅入られたように、少女の心が花を欲していた。  懐かしい匂いがする。とても、とても懐かしい香り。
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