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穢れを知らぬこの花に、自分の薄汚れた手で触れてもいいものか、少女はためらっていた。
その時、手のひらの傷口から流れ出た赤い血が、真っ白な花弁にポタリ、と落ちた。
赤い血のしずくが花びらに染み、吸い込まれた。
純白の花は微かに震えながら、美味しそうにその雫を飲み干した。
垂れた血液は跡形もなく消えていた。
少女は自らの目を疑う。
花が動いたように見えた。花弁を少女の手に吸いつかせる。
純白だった花弁が徐々に色づいてゆく。
白から淡い薄紅、真紅。
傷口から血を舐めとるようにして、花弁はついに真紅に染まった。
少女の体からは痛みが消え、夢の中にいるような錯覚に陥る。
目が霞(かす)み、意識が朦朧(もうろう)としてくる。
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