天と地による方程式

やつは雨の日にやって来た。

コイツ、怒ってるよ。
やっぱ、寒いんだろうな、傘貸してあげようか。

「か……」

「いらん！」

はや！てか、か、しか言ってないよね、俺。
何、コイツ、エスパーなの。

あぁ、そっか、借りたいじゃなくて奪いたいだ。
コイツ、いやな女だな。

「一応確認する、雨宮亮太、っていうどうしようもないゲスでろくでなし、略してゲロ野郎ってのはお前か。」

「違います」

同じ名前のやつなんてこの世にたくさんいるからな。
まず、俺はどちらかと言うと逆の方だ、前だって、駅前のトイレットペーパー切れてたから、自分のポケットティッシュをおいたくらいだからな。うんうん。

「え？ほんとか？」

なんと気の抜けた声なのだろう。