序章:異世界へご案内なの!

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 高校での生活も一年が過ぎ、新たな学年へと進級するのを待つだけの春休み。  暇をつぶそうと外に出てみたものの特にすることもなく、結局俺はベンチに座って通行人を眺めていた。  何となく始めてみた人間観察だが、意外と退屈しないものだ。  俺の前を通り過ぎていく人たちは実に様々で、仕事で忙しく駆け回る人。じゃれあう子供たち……そしてイチャつくカップル――爆発しろ(満面の笑み)。  まぁとにかく見ていて飽きなかった。  そんな中ふと、一人の幼い女の子が目にとまった。  腰まで伸びた綺麗な金色の髪の毛が印象的な女の子。その女の子は何やら困った様子でキョロキョロとしていた。  目の前で女の子、それも幼女が困っているなら俺がするべきことは一つしかない。そう思い立った俺はすぐ行動に移した。 「お嬢ちゃん。どうしたんだい? 道にでも迷ったのかな?」  俺は膝を折って女の子の目線に合わせると、紳士的に優しく声をかけた。こういうのはまず相手を安心させるのが大切だからな。
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