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『ぐッ、ガアァァァアァァッ!』
悪魔が苦悶の声をあげる。その表情は、苦痛によって醜悪な形相を晒している。
男は次の一手を決めるべく、構えをとった。
「おらよッ!」
『がふっ!』
男が、悪魔の脇腹に強烈な回しげりを叩き込んだ。
一人と一体の体格差は軽く二倍はある。男の一撃は、そんな差など無視できるかのように軽々と巨体を吹き飛ばし、塀へと打ち付けた。
轟音と共に塀が揺れ、悪魔を中心に放射状の亀裂が走る。
「おい、危ないじゃろうが! ワシの柔肌に傷がついたらどう責任をとるつもりなんじゃ!」
「お、わりいわりい」
先程まで無事だった塀、今は悪魔が叩きつけられたことによって半壊している塀にいたゴスロリ女は、いつの間にか男の隣に移動していた。
男にむかって怒鳴りちらしてはいるが、その身体には傷ひとつない。
悪魔の最初の攻撃を躱していたことといい、この女も只者ではないだろう。
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