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『クソ、クソ、クソッ! なんなんだ……なんなんだよ、てめえはッ!』
悪魔が喚きながらも、立ち上がろうとする。
「あ、もう勝てそうにないし、大人しく横になっておれ。ワシもそろそろ寝たいしのう。夜更かしは美容の敵じゃ」
そう言って、ゴスロリ女は手刀で目の前の空間を横に払った。
『な……ギャアァァァアァァァッ!!』
悪魔が絶叫する。
重い音を立て、悪魔の上半身が“落下した”。
大量の粘っこい液体を撒き散らしながら、下半身は前のめりに倒れる。
ゴスロリ女は悪魔に手を触れていない。しかし、上半身と下半身を分断させたのは、女の仕業だと思わざるを得なかった。
「あー、あー。惨いことしやがって」
男が一歩、足を踏み出す。
『ひッ……く、来るな、化け物!』
悪魔の声は震え、表情は歪んでいる。
死の、恐怖によって。
「化け物ぉ? 鏡を見てから言えよ。
ま、お前らを生み出したのは俺達だしな。あながち間違っちゃいないか」
『クソ、なんだってんだ……どうなってんだよ……なんでこんなことに……クソ……クソ……』
既に男の言葉は悪魔には届いていないようだった。悪魔は上の空で、ひたすら、誰に向けているかもわからない言葉を吐き出している。
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