ゲーム、スタート

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「今宵も"まやかしの美しさ"いただき」 「…ま、待てっ!」 そう言うも虚しく彼は身を翻し、その黒い肢体が闇夜に消えた。 「……イヴ」 いつになったら君をこの手に捕まえる事ができるんだ…。そんな呟きは辺りのざわめきに掻き消された。 僕のいる街には、小さな怪盗がいる。名を"イヴ"と言う。性別は確かじゃないが恐らく、男。それは何故かと言うと、毎回彼の姿が女のような長いく美しい髪をしていたと思えば、短いショートになっていたり、艶やかな声をしていたと思えば、男のような低い声をしていたり。本当はどちらなのかわからない、らしい。今言ったのはあくまで世間が噂する情報だ。事実は違う。僕は、いや、僕だけが知っている"本当の彼"は、全身を黒服で覆いっている。恐らく、癖なのであろう、いつも人を小馬鹿にしたような物言いをする。そして誰もが見惚れてしまう程美しい人。 あと、 夜が明ける寸前の空のような色をした瞳を持つ人。
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