ゲーム、スタート

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あの瞳に出会ったのはつい1ヶ月前。その頃から少しばかり世間を騒がせている事件があった。美しい絵画ばかりを狙う小さな怪盗、その名も『怪盗イヴ』が連日報道され、騒がれていた。上司である山勢さんがその担当につくらしく、新米刑事である僕は、山勢さんと一緒にその事件を担当するよう任された。 「じゃあ、紫苑おれはこっちから見回りするから、お前はあっちから行ってくれ」 「はい」 「何かあったら連絡するんだぞ」と言いながら山勢さんが走って行く様子を少し見た後、僕は言い付けられた通り、山勢さんとは逆の方へ見回りへと行った。 「…それにしても、怪盗イヴってどんな奴なんだろう」 くすっ 不意に背後から人の笑う気配がして、振り向こうとした瞬間、何かに抱きすくめられた感覚がした。 「こんな奴だけど?」 「えっ?」 少し首を傾ければすぐそこに、僕を抱きしめていた人物の顔が至近距離にあった。 「…っ、か怪盗イヴ!?」 「御名答」 くすくすと愉快そうに笑いながら、抱きすくめていた腕をほどいて、離れた。 「あんた、刑事さんだろ」 「そ、そうだ」 ふぅーん、と呟くイヴを横目に僕は山勢さんに連絡をしようと、ズボンに忍ばせていた携帯を取り出そうとして気付いた。 「あ、あれ…」 「ん、あぁ…もしかしてコレ探してんの」 と言いながら彼の手には、ズボンに忍ばせていたはずの僕の携帯が握られていた。 「…っそれ!」 「残念だけど、連絡とらせるつもりないから」 手に持っていた僕の携帯をイヴは外に投げた。ガシャンと言う音を聞き、僕の携帯が恐らく、既に使い物にならなくなった事を理解した。 「ね、おれと遊ぼうよ刑事さん」 「…遊ぶ?」 「そ、あんたが3ヶ月以内におれを捕まえる事が出来なかったらさ…」 そう言いながら、イヴは僕の腕を掴んでにやり、と笑い…。 「おれと付き合ってよ」 僕にキスをした。
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