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大きさは片手で簡単に持ち上げられる小型PCであり、装飾は光沢のある黒い下地に、金色の文字で《AristotelesTicket》と書かれている。
――トスッ。
功刀はそれを山科にも見えるベッドの上に画面を開きながら置いた。
雰囲気を出すわけではないが、代わりにそれ以外の電化製品の電源を切る。
PCの画面の明りだけになった部屋では、埃が病原体のごとく宙を舞っているのが見えた。
「なぁ……俺たちさ。」
と、功刀はその先をしゃべろうとしたら頭の中が黒く塗りつぶされた感覚になり、口が動かなくなる。
――俺たちさ。
その先の言葉が出てこないことに焦りよりも、自分自身の弱さに対しての苛立ちが強く手を握り締めさせた。
それを知ってか知らずか、功刀の言いたいことを山科は言った。
「まさか俺たちさ。《アリストテレス》なんかに……ならないよな?」
当たり前だ。なるわけなんてないさ。
なんていうそれとは全く逆の事を考えていた功刀は、やはり苛立ってしまうのだった。
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