アリストテレス《序章》

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 『感情複合症候群』。別名、『コンプレックス症候群』。  その病気はここ近年病例が確認され始めたばかりで、この病気の処置方法などは一切判明されていない。  コンプレックス症候群は簡単にいえば、身体に大きな影響を与える精神病である。  いや、大きいという言葉では、あまりに小さすぎたかもしれない。  唯一判明していることは名前の通り、人が抱えているコンプレックスが、体へ過剰な反応を起こすことによる病気であるということ。  つまり、もしもAという人間が、『笑われる』ということがコンプレックスで、この病気の《第一症状》がすでにでている場合、他人に笑われることで病気が反応を起こすわけだ。  この時問題となるのが、その反応である。  通常、コンプレックス症候群の第一症状が発症しても、それ自体は問題ではない。  さっきの例でいえば、耳に栓をし目を閉じればいいのだ。  しかし、2回。  2回『笑われる』ようなことがあれば、今の所の統計で、死亡率100%。すでに50人以上の人が死んでいる。  まさに、絶対に絶命の病気なのだ。  数少ない希望といえば、現在この病気を確認されている人数は100人に満たないことから、発病の可能性は根本的に低いといえること。  そして。  この病気の特徴は世界的に、特に日本では有名であることが希望的だ。
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