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山科家は祖父が国会議員で、父親が開業医という生まれながらのTHE勝ち組という感じの家庭である。
そのため山科本人はずっと周りに持てはやされて生きてきたため、時折こういった時に出る「言わなくても悟れ」的な物言いをする癖が功刀は嫌いだった。
「なんか不満なのか?」
「だってもう始まってるじゃんかよ~。開会式20時だったよな?」
「いいだろ。録画してあるんだからそっから見れば。」
なんだそんなことか、と功刀自身も自分の反省の意は示さない。
いけないとはわかっていても、まあ、性格なのだからしょうがないと、山科も自分も許すことにしている。
「わかってねぇな~功刀は。お前競馬をする時、そのレースを録画して後で見るか?しないだろ~?結果を先に知りたくなっちゃうし、知ったらレースとかどうでもいいじゃん。」
「そりゃそうだけどさ……。」
今日は小説をリズムよく打てたんだから仕方がない。と、自分でも理にかなっていないと思う言い訳をする。
「だいたいさ。なんだっけ?その本の題名。」
山科は唐突に質問を繰り出してくる。
「【絶望マーチ】だよ。」
「だよな。そこがまず一つネーミングセンスがない。そしてあと――」
「オリジナルじゃないってことだろ。何度も言われてる。」
それも山科本人に、だ。
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