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「土方さん、居るか?」
平助は一つの部屋の前で足を止めては声を掛ける。
「おう、平助か。入れよ。」
「んじゃ、失礼します。」
平助が中に入ればそこには、仏頂面ではあるが、まるで役者のような顔立ちの男がいた。
この男が新選組の『鬼の副長』と言う異名を持つ土方歳三であった。
「どうした、平助。今日は綺那と甘味屋に行って来たんじゃねぇのか?」
「まぁな、行ったぜー。良いだろwww」
「てめっ、切られてぇのか!」
額に青筋を浮かべて刀を抜こうとする土方。
「落ち着けよ、土方さん。そうじゃなくて、実は...。」
土方を宥めては、今日お帰る最中に見た辻斬りの犯行について話し始めた。
「...そうか。わざわざご苦労だったな。...今日から巡察も強化しねぇといけねぇな。」
「そうだな、土方さん。...じゃ、俺は失礼しますよ。」
「ちょっと待て、平助。綺那とはどこまでいったんだ?」
「なっ、何言ってんだよ土方さん!まだ何にもねぇよ!」
「ほぅ、そりゃよかった、もう帰っていいぜ。」
「あぁ、失礼しました。」
若干赤くなりながらも土方の部屋を出ていく平助。
1人残った土方は黒い笑みを浮かべていた。
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