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「....副長。綺那が島原に向かったというのは誠ですか?」
すっとふすまを開けて、淡々とした口調で話す涼やかな顔立ちの美丈夫は新選組三番隊組長、斉藤一である。
「...お前もか、斉藤。」
もう一度深いため息をつけば、ここに集まった幹部たちに説明を始める土方。
「...土方さん、綺那ちゃんに何かあったらどうすんだよ。」
平助にしては珍しく淡々とした口調で土方に聞く。
「あいつだって、それぐらいの覚悟はできてる。」
平助の口調に驚きながらも、総司に言ったように答える土方。
「じゃあ、これは俺の自己満足でしかないけど、綺那ちゃんに何かあったら、複製したアレを屯所中にばらまくんで。」
「お、おい平助。アレって何だ?」
嫌な予感がして冷や汗を流しながら聞く土方。
「え?..土方さん、言っていいんですか?..言っていいなら遠慮なく言うぜ?」
「...言わんでいい。」
土方の心労がまた増えるのであった。
土方は心から思った。
綺那に何もおきることなく無事に帰ってくることを。
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