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数刻が立ち、段々と酔いが深くなってきた高杉。
自分のお気に入りの遊女に癪をして貰い、大分気も大きくなってきていた。
それを見計らってか、綺那が高杉に問いかける。
『なぁ、高杉はん。高杉はん達は何をしようとしてはるん?..うち、高杉はんのこと知りたいねん。』
高杉の腕に枝垂れかかりながら上目遣いで高杉を見る。
ここ数日で遊女になったとは思えない程のものであった。
そんな綺那に心を奪われたのか、酒の力も加わり、高杉は話し出した。
「俺はよぉ、このままじゃ日の本は終わりだと思ってんだ。」
『...どうして?』
「俺たちは、外国の戦力を目の当たりにしてわかったんだ。...外国はもう、刀の時代じゃねぇ。
だが、そんなことを幕府に言っても聞く耳を持たねぇ、だったら、俺たちで幕府を潰して、帝に政権を握らせるしかねぇだろ。」
高杉の真剣に日の本を考える姿勢に、少なからず感心した綺那。
『..じゃあ、高杉はんは京で何かする気なん?』
「あぁ?..俺は一先ず様子見ってとこだな。...まぁ、稔麿たちは近々何かやるらしいけどな。」
『...そうなんどうすか。..ほな、吉田はんに気ぃ付けて下さいって伝えてもろってもえぇどすか?』
「おう、良いぜ。...んじゃ、俺はもう行くぜ。また来るから待ってろよ、綺芽。」
上機嫌で帰っていく高杉。
それを見送れば、綺那は思わず座敷に座り込んでしまった。
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