綺那と高杉と遊郭。

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綺那は、しばらく考え込んだ後、遊女特有の化粧を落とし、町娘風の着物に着替えれば、遊郭を出て屯所に向かった。 屯所に入り、土方の部屋に行く。...が、そこで綺那は思い出した。今が明け方で、寝起きの土方はすこぶる機嫌が悪くなることを。 『...覚悟、決めるしかないよね。』 溜息をつきながら土方の部屋の襖を開ける綺那。 書類の散乱した部屋にはやはり、寝ている土方がいた。 『...土方さん、すいませんけど、起きてください。報告があるんです。』 土方を揺さぶって起こそうとする綺那。 土方は寝返りをうち、綺那の方を向くも起きる気配がない。 綺那が溜息をつき、もう一度土方を揺さぶって起こそうとした時、綺那の視界が一面黒くなった。 『...ひ、土方さん!?』 綺那は土方に抱きしめられていた。 必死に土方の腕からの脱出を試みるも、動くほどに土方の抱きしめる力が強くなってきた。 綺那が諦めかけた時、襖の前に誰かが来た。
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