493人が本棚に入れています
本棚に追加
「土方副長、いらっしゃいますか?」
襖の前にいるのは斉藤だった。
『さ、斉藤さん!!助けてください!!』
綺那はもがきながら斉藤に助けを求める。
「ん?..その声は綺那か。..失礼します。」
綺那の声を聴き、急いで中に入る斉藤。
そこで斉藤が見たのは、綺那を抱きしめている土方と、そこから必死に逃げ出そうとしていたのか、着物が乱れている綺那だった。
「..待っていろ、今助ける」
斉藤はそう言うと、土方の腕を綺那から外そうとする。
が、土方の腕は一向に離れない。
「どうしたものか...。」
斉藤が考え込んでいると、襖の前に、また誰かが来た。
「土方さーん、朝餉の時間なんだけど、起きてるか―?」
「ん?..その声は左之さんか?」
「おぉ、一か。なんでお前がここに居るんだ?」
「そんなことより、左之さん、ちょっと中に来てもらえぬか?」
「お、おぅ。」
左之は斉藤に促されて中に入った。
最初のコメントを投稿しよう!