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綺那が遊郭に戻って、いつもの様に高杉の相手をしていた時のこと。
高杉はいきなり綺菜に告げた。
「俺、暫く来れなくなった。すまねぇな、綺芽。」
『え?...どうしてなん?高杉はんが居なかったら寂しいわぁ。』
綺那が言ったことはあながち嘘ではなかったりする。
暫く屯所に帰っていなかったことから、高杉との会話が監察としてだけでなく、自分の本心からも楽しかったからだ。
「長州に帰ろうと思ってな。稔麿たちの意見には今回は気がのらねぇし。」
『そう...どすか。』
寂しそうな表情を見せる綺那。
高杉はそれを見て、思わず綺那を抱きしめた。
『た、高杉はん?』
流石にびっくりした綺那。
「会えねぇ分の貯金だ。..しばらくこのままでいさせてくれねぇか?」
『...はい。』
綺那は思わず頷いた。
暫くして、高杉が綺那を離す。
「じゃあ、俺は帰るぜ。..こっちに戻ってきた時はまた来るぜ。」
『へぇ、お待ちしとります。』
高杉は何を思ったのか、綺那に近付いた。
―――チュッ。
それは一瞬の出来事だった。
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