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――― 回想
ある朝、土方は山崎に言いつけた。
「山崎、屯所内の草木の手入れしてくれ、邪魔だ。」
「えぇ、監察の仕事とちゃうやん。」
「なんか文句あんのか?」
「...ある「あぁ?..ねぇよな。」」
「...ありまへん。」
強制的に頷かされた山崎は渋々屯所の草木の手入れをするために作業着に着替えて、高枝鋏を持ち、器用に切っていった。
その様子をたまたま通りかかった綺那に
「頑張って下さい。」
と言われて、心なしか救われた気持ちになったのは、山崎だけの秘密だ。
暫くして、草木の手入れが終わり、土方の部屋に行く山崎。
何でも器用にこなしてしまうのは、やはり彼も天才だからだろう。
「土方さーん、終わったでー。」
「そうか、ご苦労だったな、んじゃ次だ。」
「えぇ、まだあるん?」
「文句あんのか?」
数刻前に繰り返した言い合いを繰り返すも、再び山崎が折れ、仕事という名の雑用をそれこそ夜更けまでさせられたのであった。
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