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ついに、当日を迎えた。
屯所の雰囲気はどこかピリピリとしている。
そんな雰囲気の中、ひときわ楽しそうにしているのは、言わずもがな、一番隊組長、沖田総司である。
「一君、いよいよ今日ですよー。ワクワクしますねー。
何人斬れるか勝負しませんか?」
「...総司、そういうのは勝負ごとにするものではないと思うのだが。」
「いいじゃないですかー。
折角の捕り物ですよー、楽しまなきゃ。」
何とも不謹慎な話だ。
その会話を聞いていた幹部や監察方は溜息をついた。
綺那も溜息をついていた。
....ついにこの日が来てしまった。
....吉田さんには生きてほしい。
そう思わずには居られなかった。
「綺那、浮かない顔だな。やっぱり今日の捕り物の事、気にしてるんだよな。」
綺那に声を掛けたのは新八だ。
『....はい。今回はなるべく手を出さないで、傍観者になるつもりなんですが...。』
そう言ってため息をつく綺那。
「....そうか、死なねぇ様に気ぃ付けるんだぞ?...お前が死んじまったら、皆悲しむんだからよ。」
綺那の頭を軽くぽんぽんとしては、軽く笑って、左之や平助の方に行った新八。
その言葉と手に、綺那は少し安心したのだった。
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