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何でもない秋の夜。涼風秀二は学校からの帰り道を何でもないように歩いていた。
こんなことはもう何回も繰り返している。わざと地元から遠い学校、しかも進学校を選んだ為、帰りが夜になってしまうのは当然だった。
駅から自宅まで約十分。たったそれだけの歩行時間だった。
信号が青になり、一応左右を確認してから横断歩道を歩いた。ある出来事から涼風は毎回横断歩道を渡る時は左右を確認することにしていた。
だから安全なはずだった。そこで予想外の出来事があった。
後から考えてもわからなかったが、居眠り運転か飲酒運転だったのだろう。
前から左折してきたトラックが猛スピードで横転した。
場所は交差点の真ん中から涼風が渡っている横断歩道にかけて。
トラックのスピードは速すぎて涼風は避けようとする暇もなく突っ込んだ。
涼風は意識が飛び、何が起こったのか、まるで考えることもできないまま結果として地面に体を叩きつけられていた。
涼風が次に目を覚ました時、彼の周りは彼自身の血によって覆い尽くされていた。
涼風はまた意識を飛ばしてしまい、その後彼の意識が戻ることはなかった。
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