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ふと、目が覚めた。
確かトラックが突っ込んで来たはずだ。
だから目が覚める場所は病院のベッドの上のはず。 なのに背中から感じられる感触は決して軟らかくないのだ。
「どこだよ、ここ…」
とりあえず起き上がって辺りを見渡してみた。座っていた場所はベンチだ。ここは野球のグラウンドらしい。
天気は至って快晴。野球日和と言うべき日だ。
「夢でも見てるのか?普通生きてないだろ。あんなに血が出てたんだから」
トラックに突っ込まれて自分がどんな状況にいるかはわかっていた。
助かったなら奇跡。まず血が足りないだろうから血を分けてくれた人に感謝。あと素晴らしいオペをしてくれた医者様に感謝。
もしそうなら病院にいるはずなのだが、ここは野球グラウンドだ。
(やっぱり夢だろうなぁ…。野球してたからってここにいるだなんて安直すぎないか?)
「そもそも俺、もうできないし…」
「お、涼風!ずいぶん来るのが早いな」
(…誰だ?)
聞いたことのない声に名前を呼ばれたことに首を傾げながらその方向を見てみると、やはり見知らぬ顔の男女二十人程がこちらに近づいてきた。
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