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「それは本当」
涼風は自分が怖かった。知らない人達とこうして平然と話していることがあり得なかった。相手が親身に話してくれるからかもしれないが、涼風は彼等を一切知らないのだから。
授業がもうそろそろ終わりを迎えた頃、約束を守ってくれて、本当に代打で出してくれた。男女混合にしては良い試合をしていて、楽しく試合をしていた。
「打たせないからな!涼風!!」
「いやいや、ここぞと打つのが代打だから」
ただいま同点でランナー一塁。ワンアウトで時間的に最終回ということになった。
まず一球目は高めにストレートが外れた。体育の野球にしては速い方だ。
二球目は真ん中にフォークが決まってストライク。この変化球があるからお互いに打てず、良い試合になっているのだろう。
三球目、球の回転からストレートとわかったのでフルスイング。白球は綺麗な放物線を描いてレフトスタンドを越えていった。それがわかった途端、涼風のチームから歓声が上がっていた。
「ホームランだ!!」
「クワァ!負けたああああぁぁぁ~!?」
涼風はゆっくりとベースを一周してくると、打ったであろうボールを持った教師らしき人に頭を叩かれた。
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