たんぺんしゅー

９

「‥、やぶ？」

ソファーに座る俺の膝に頭を乗せる光が心配そうに俺を見上げた

「‥へ？」

「なんか、あったの？」

そうやって、俺の気持ちには一番敏感で、

見透かされてるみたい

「んーん、なんでもない‥よ」

なんでもあるけど、なんて言えば言いのさ？

「ずっと一緒にいるのに、俺に嘘は禁止」

負担になりたくない、嫌われたくない、引かれたくない

俺の気持ちを一番わかってる様で、君は多分一番わかっていない

「大丈夫だってば、気にしないでよ！」

上げてしまった大声が楽屋に響いた時にやっと、やってしまったことに気づく

「あ、ひか‥っ」

「もういい、」

立ち去ってしまった君の冷たい瞳が、やけに胸に突き刺さった