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静かで厳かな雰囲気の礼拝堂の中で、永遠の約束を、今、交わそうとしている二人がいた…。
「汝、×××と、病める時も、健やかなる時も、共に歩み、生涯の変わらぬ愛を誓うか?」
「………」
「誓うか?」
「………」
「汝、誓うか?」
三度突き付けられる、神父の問いに、私は、答えられなかった…。
この場にいることは、自分自身で、決めたことじゃなかったの…?
たった一言『誓います。』と言えば、すべてが、丸く治まるのよ…。
みんなが、幸せになれるはずなの…。
みんな…?…じゃあ、私は?
私は、本当に、幸せになれるの?
バタン!!
勢いよく開いた礼拝堂の扉の向こうに、一人の男が、立っていた。
「美紗!!来い!!」
「…なんで、お前が、ここにいる?!
何しに、来たんだよ!!」
私の隣にいる彼が、扉の側に立つ男に、問いかける。
「美紗を、貰いに来た!」
そう言い放つ、あの人を、私は、知っている…。
私は、あの人と、約束をしたの…。
二人だけの約束を…桜の下で、約束を…。
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