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「回収完了しました、おじょっ…!?」
言い終わる前に、少女の重い右ストレートが青年の鳩尾にヒット。
「お…お嬢っ…!何すんですか!!?」
「うるさい!アンタが遅いもんだから汚れちゃったじゃない!」
「それはっ…俺のせいじゃないでしょ?!いつものっ…お嬢なら絶対返り血浴びたりしないじゃないですか!絶対ワザとっ…!」
「クリス。うるさい」
鳩尾を押さえながら反論する青年に更に一撃。
今度こそ撃沈と言った感じで、クリスと呼ばれた青年はうずくまる。
そんなクリスに『容赦無し』と言わんばかりに、着ている上着を剥ぎ取る少女。
剥ぎ取った上着で身体を染める血を拭き取ると、その辺へポイッと投げ捨てる。
「……あの~アリアお嬢様?」
「何?」
「……」
「………」
しばし、二人で睨み合いならぬ微笑み合いの応酬。
一方は、ひきつった笑いなのは言うまでもない。
微笑み合うこと数分。
先に口を開いたのはクリス。
「お嬢、最近俺の扱い酷くないですか?!さっきも、身体に付いた血を拭くだけならまだしも……刀の血糊も拭いてたし?!」
「…クリス」
アリアと呼ばれた少女は、クリスの顔に手を添え―――
「クリス?貴方は私のモノ…でしょ?」
と、花の様に微笑んだ。
「う゛っ…」と言葉に詰まるクリス。
それを楽しそうに見るアリア。
勝敗は明らか。
「はぁ~…ほんと、お嬢にはかないません」
ガクッと肩を落とし、苦笑しながら降参ポーズ。
満足げに頷くと、クリスの頬に軽くキスをするアリア。
「今日も良くできました♪」
まるで犬を褒める様な仕草だが、当のクリスは至極ご満悦と言った様子。
尻尾が有れば思いっきり振っているだろう。
「さっ、お嬢。もう任務は終わったし帰りましょう」
捨てられた上着を拾い上げ、右手を差し出すクリス。
その手を取ると二人の体は闇の中へと消えていった。
聖クロムウェル教会内ローレライ機関
天使との混血児を各地の孤児院等から保護し、「天使を狩る者(通称 アドラメレク)」、「悪しき魂の回収者(通称 ケルビーニ)」を育て上げ、日夜哀れな愚者を狩っている隠密討伐機関。
とある一室、男性2人の話声がする。
「遅いっ!!アイツ等はまだ帰って来ないのか?!」
「落ち着け、どアホ。アリア達が討伐に向かって、まだ4時間しか経ってないだろ。」
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