会計の思惑

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俺は会長、西園寺詩音のことが好きだ。 なんで好きかっていうと、あれだ。まず笑顔が可愛い。いや、俺より5センチ背は高いし、どちらかといや男前な顔だが、腰はほせぇし、肌は白磁みてえに綺麗だし、笑うと八重歯が見える。そういや、すぐ照れんのも可愛い。白い肌を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに目が伏せられんのは色っぽい。 しかも、むちゃくちゃ優しい。明らかに会長のが大変なのに、進んで雑用を引き受けるし、この間なんか巣から落ちたらしい雛鳥を木に登って巣へ戻していた。多分、おれだったら、落ちた雛にすら気づかない。 そんな俺に出来ないことをさらっとやる会長が大好きだ。 どんくらい好きかって言うと、あぁ言い表せねぇな… とりあえず、会長を怖がらせないよう、自分を偽るくらい好きだ。 ずっと、会長を見てたから、俺は、会長が威圧的な話し方をする風紀委員長が苦手な事を知ってた。 だから、俺はあんな間延びした話し方をしている。しかも、俺が会長だったらウザくて、殴りたくなるようなチャラ男なんて演じて。 まぁ、怖がらせたくないし。会長には笑っててもらいてぇし。 その為には、いくらだって偽ってやるさ。 なんて、考えてたのが一週間前。 …俺は転校生という、未知の生物と対面した。
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