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目を開けて見えたのは白い天井に誰かの顔。
「会長、大丈夫?」
伸ばされる手にヒクッと喉が鳴る。
けれど、その手がまるで聖母のように優しく頬を撫でるから、縋ってしまいたくなる。
「じゅんや…」
「うん、なぁに?」
返される優しい声に落ち着く。思わず呼んでしまった名前に、慌てて、話を変えた。
「いや、…えと、今何時だ?」
「んー?今はえぇっと、夜の7時だよ」
「そう、か」
ゆっくりと体を起こして、ベッドから降りて伸びをした。
「会長、仕事終わらせたし、一緒に帰ろ」
「終わったのか!?あの量を、一人で?」
「うん、明日、明後日提出のだけ、だけどね。あとは会長印がいるけど。会長が仕事代わりにやってくれてたおかげだよー。本当にごめんね」
すまなさそうに、頭をさげる淳也。
「許してほしいか?」
「へっ?」
「許してほしいなら、一緒に飯食って」"気にしなくていい"とか、"頑張ったな"とか、"お疲れ様"とか言いたいことは沢山あるのに。
口から出たのはそんな脅し。
「…わるい、忘れて「いいの?」くれ…」
言葉が途中で遮られた。
「会長、何食べよっか?あ、でも、会長は食堂苦手じゃなかったっけ?」
「いいのか?」
「もちろん!!許してほしいし、それより何より俺は会長と食べたいし」
「…あり、がとう」
「ん、なぁに?」
「いや、何でも。飯、良かったら俺の部屋で食わないか?何か作るぞ。好きなものは?」
涙が出そうだ。きっと俺の今の顔は酷いだろうに、何も触れずに知らん顔してくれる淳也。
「んー、オムライスがいいなぁ」
そう返事する淳也に俺は笑顔を作った。
…ありがとう。
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